デスロード一日目

・昨日は『統治と功利』読書会初日。他の人も難しい難しいと言っていたのでちょっと安心する。主催者なんだからしちゃいかんけども。

・「はじめに」は俺の担当だったのだけど、もうちょいちゃっちゃと終わらせればよかったかもしれない。いや、日程についての話し合いが長引いたりするかと思ったのだけど。俺には柔軟性が足りないのよな。

・昼休みはなぜか心理テストをして遊んだりしていた。生命倫理女史がいるとなごむな。ああいう場を殺伐とさせない人材は貴重。

・第1章はノージック後輩*1。ちゃんと短くまとまっている。えらい。長々2時間近く喋ったどこかの先輩*2とは大違いだ。

・要約というのは意外に実力が出るのよな。帰りに聞いたら某東京タワー高校出身らしい。よく訓練されている。

・しかしやっぱり普通の人には「サンクション」みたいな用語はなじみがないみたいだ。まああんまり使わないものなぁ。「インセンティブ」は経済学に興味があるなら知っておいたほうがいいと思うけど。

・他のところでも問題になってたみたいけど、「理由に功利主義が介入すべきでない」ということが前提化されているようなのはどうなのか。そういう感覚はわからないでもないけれど、この要求が切り札的に扱われているのは第2章の最後のほうで書かれてる「道徳的権利はない」みたいな話と両立するのかとかが疑問。「良心の自由」みたいなものが切り札性を持った道徳的自由権として扱われているように見えてしかたない。

・あと、1章の最後にある「善と正を区別する/区別しない」の議論がよくわからない。この問題はる「善に対する正義*3の優先権」云々の話とは区別されているの?

・すぐあとに「正義の善に対する優越を説く以来の現代正義論と、善の諸構想に依存しない形で制度を構想しようとするリベラリズムという枠組みに適合的に功利主義を論じるものである」(p.15)とあるから、区別されてないのかな。

・でも、「正義の善に対する優越」と「善の諸構想に依存しない形で制度を構想する」ことが区別されているようにも読めるな。

・「善の諸構想に依存しない形で制度を構想する」のは「統治功利主義は統治についてしか論じないので、(『制度に関わる理論』という意味での)『正義の理論』ですよ。だから(『個人道徳に化関わる理論』という意味での)『善の理論』ではないですよ。人の個人道徳については何も言わないですよ」」ってだけだってことでいいのだろうか。それならわかるけど。

・まあ読書会がひととおり終わってから考えなおそう。

・第2章は俺。レジュメがノージック後輩の6倍くらいになってしまった。でもあれはしかたないと思う。

・ひとつ気になったのは、安藤の功利主義が行為功利主義だというのはいいとして、それはAUなのかUAUなのか、ということ。

・p.55とかを読むと、「UAUの方が好ましい性質を備えているように思われる」→「これまで述べてきたように、我々は基本的にAUが妥当なものであると考えており・・・・・・」なんて書いてあるからUAUっぽくみえる。し、読書会でもそういう意見が多かった。けどAUとしか書いてないのだよね。

・もしそうだったらUAUってはっきり書きそうなものだけど。

・p.51のマトリクスにおける「個別行為」と「規則随従」の区別がDUとIUに対応してて、だから自分の立場はIUだと言うだけでUAUであるということが言えてたりするのだろうか。それだったらすんなり理解できるのだけど、でもp.59-61のDRUの例をみると「規則に従って行動」って規則随従っぽく書いてある。

・いやでも「自分で規則を考えて守る」のは「個別行為」っぽい気がするしやっぱり対応してるんじゃないだろうか。

・「前節で論じたように、AUに於いても功利原理以外の規則などによって行為を決定することを許容すべきであった。このように間接的な意思決定手段を用いて〜」(p.59)とか、間接功利主義についての説明のなかに「規則」って言葉が入ってきてしまうあたりがめんどくさい。

・RUをこんなに狭い概念として捉えるなら「規則功利主義」なんてまぎらわしい言い方をやめて普遍化も一般化もされた功利主義(UGU?)とかそういう言い方をすればわかりいいのでないかね。

AU(行為功利主義)、UU(普遍化された功利主義)、GU(一般化された功利主義)、UGU(普遍化も一般化もされた功利主義)でマトリクスが作れて、それがp.59-61で作られてるマトリクス(DAU、DRU、IAU、IRU)に対応してるなら話ははやいのだけど、そうされてないってことはこれじゃ説明できないのかなぁ。

・一般化とかについての細かい議論も頑張って説明したのだけど、みんな寝かけていた。頑張って起きていようとしている様子に痛々しさすら感じた。まあつまらないよね・・・・・・長々説明してごめんね・・・・・・。

・次回は14日。魔の第三章。楽しみなような怖いような。まあ後輩にレジュメ作成を押しつける暴挙に出たので俺は気楽なものだ(最低)。

・あと真琴先生が参考資料を教えてくれたのと、江口先生が自分の関連ブログ記事の
まとめ記事を作ってらっしゃったので、参加者にURLをシェアをしておいた。両先生に感謝。

統治と功利

統治と功利

*1:マルクスとかのが好きらしいけど。シンガーのとか呼んだらくるかなぁ。しかしあまり呼びまくるのもなぁ。

*2:俺ですよ。

*3:rightを「正義」って訳すのはどうなのだろう。