まじめな読書会入門―その3:発表

 前回までは読書会の事前準備について説明しましたが、今回は読書会当日のことについて説明したいと思います。

 さて、あなたの手元には、もうテキストの各段落の「一番言いたいこと」をまとめたレジュメがあるはずです。口頭発表では、基本的にはその「一番言いたいこと」を順を追って説明してゆくこととなります。ここで重要なのは、レジュメでは各段落の「一番いいたいこと」のみをまとめればよいが、口頭発表ではもう少し多くの内容を説明しなければならない、という点です。先述したように、レジュメは簡潔さが命なので、テキストに書いてある内容をすべて書くわけにはいきません。しかしながら、各段落の「一番言いたいこと」以外にも、説明しておくべき情報はたくさんあるはずです。
 よって、読書会にのぞむまえに、口頭で発表すべきことを頭の中で整理しておくことが重要となります。また、テキストに書かれていない/書かれているがそれだけではわかりにくい情報について説明する必要がある場合は、Tさんがしてくれたように補足プリントを作るというのもひとつの手段です。その場合、補足プリントへの説明をどのタイミングでするか事前に考えておくとよりよいでしょう。

 さて、読書会にのぞんで、参加者にレジュメを配ったら、まず配布ミスや印刷ミスがないか参加者に確認してもらいましょう。ミスはどうしてもでるものですし、この作業をすることで読書会にリズムが生まれます*1
 発表がはじまったら、まず自分の担当した部分がどこであるのか、それは概説してどのような役割をもった部分なのかを簡単に説明しましょう*2。そして、意味段落ごとにレジュメにそって説明をしてゆきましょう。
 先述したとおり、意味段落の説明を終えるごとに質問や意見をつのったり、誰かを指名して発言を求めたりするとよいと思います。このことによって、発言したい人が発言の機会を持つだけではなく、それ以外の人も発表の内容を咀嚼して吟味する時間を得ることとなります。急いで発表を終えてしまいたくなるのが発表者の心情ですが、少し進行に余裕を持つのがポイントです。

 発表が終わったら、再度質問を受け付けたうえで、何人かに扱われた題材について意見を求めるとよいでしょう。そのあとは、(今回の読書会ならば)おしゃべり好きな人たちがなんとかしてくれると思うので、話が一段落したところでお開きにしましょう。
 テキストの内容について不明な点があるときは、それを整理しておいて、読書会で他の参加者に質問すればそれでOKです。読書会は能力を競うためにあるものではなく、みんなで助けあうためにあるものです。君の楽しい読書会ライフを応援しています*3

*1:別にレジュメの配布でなくてもよいのですが、「これから読書会をはじめますよ」というシグナルを何か用意しておくと、他の参加者にとっても発表者にとってもメリハリをつけやすくなるでしょう。

*2:たとえば、「私の担当は第2章『ヤング・ヘーゲリアン』で、ここではマルクスに対して影響を与えたヘーゲルおよびヘーゲル左派の思想について説明がなされています」みたいなことを一番はじめに言っておくと、聞きやすいでしょう。

*3:この一連の記事はtwitter経由で流れてきたライフハックや自分なりの経験則をまとめて書いたものですが、特に江口聡先生のホームページを参考にしました。「こんなコミュ障ヒキニートの記事なんか参考になるかよ!」という方は、江口先生の書かれた「レジュメの書き方」の記事や、「自主ゼミを開こう」の記事、「勉強ではなんでも許される」の記事などを参考にしてみてください。