まじめな読書会入門―その2:レジュメ作成

 さて、前回私たちは1〜4段落をそれぞれ以下のように要約しました。

マルクスは学生時代、ヘーゲル哲学に熱中していた。
ヘーゲルは広範な領域にわたる画期的な思想体系を作り上げた。
ヘーゲル哲学はヘーゲルの生前はもちろん、死後もドイツ哲学を支配した。
マルクスヘーゲルの『心の現象学精神現象学)』をヘーゲル哲学の出発点であるとしているので、『心の現象学』が私たちのマルクス理解の出発点となる。

 今回は意味段落内での要約のみをしましたが、実際にはここで要約群を意味段落にわける作業も必要になります*1
 これに意味段落をつければ一応のレジュメにはなりますが、読みやすいようにもう少し工夫をしてみたいところです。一番簡単な方法は、(Tさんがしてくれたように)意味段落ごとにまとめてひとつづきの文章にしてしまうことです。

 マルクスは学生時代、ヘーゲル哲学に熱中していた(1)。エンゲルスによれば、ヘーゲル主義は極めて広範な領域をカバーした画期的な思想体系であり(2)、ヘーゲルの生前のみならず死後も隆盛をつづけた(3)。彼が重視していた『精神現象学』をみることから、私たちのマルクス理解をスタートさせよう(4)。

 もしくは、矢印などを使ってまとめる方法もあります。

 マルクスは学生時代には、ヘーゲル哲学が流行していた。・・・①

ヘーゲル哲学の体系は広範な領域をカバーしており、かつ現代からみてなお画期的である。(エンゲルス)・・・②
ヘーゲル主義は彼の生前のみならず死後もドイツ哲学を支配しつづけた。(エンゲルス)・・・③

 マルクスは『精神現象学』をヘーゲル哲学の出発点であるとしている
→よって、『精神現象学』が私たちのマルクス理解のスタート地点になる。・・・④

 段落はどのように表記してもよいです。まとめ方は人によってやりやすい・やりにくいがあるでしょうし、テキストによってもどちらがよいか異なることもあるかと思いますので、適宜考えてください。

 プリントしてくばる文書を作る際には明朝体を使うのが基本です。ゴシック体は、文字や文章などを強調したい場合にのみ使うようにすると読みやすいでしょう。字を小さくしたり印刷を二段組にしたりすると紙を節約することができますが、必然的に読みにくくなってしまうので、特に年配の方がいらっしゃる時には注意しましょう。
 また、当たり前ですが、レジュメには発表者の氏名と発表日時*2を明記しましょう。参考文献を使った場合には、それも明記しましょう。

 レジュメの作り方は人によって異なるので、絶対的な正解があるわけではありません。ただし、①段落ごとに短い要約をつけて、②その要約を意味段落に分け、③分けた意味段落ごとに要約をつなげてレジュメにする、という3段階を踏めば、誰でもそれなりの質のレジュメを作ることができると思います。慣れるまでは、とりあえずこの3段階を踏んでみることをお勧めします。
 次回、最終回は発表の準備についてお話します。

*1:文章はふつう、いくつかの意味段落に分けることができ、それぞれの意味段落は文章全体のなかで何らかの役割を持っています。たとえば、今扱ってる意味段落には、ヘーゲル哲学を扱う第2章の導入部として、ヘーゲル哲学とマルクスとの関係を説明する、という役割がありますね。文章を意味段落に分ける際には、それが文章全体において担っている役割を意識するとやりやすいでしょう。

*2:決まってない場合はしかたないですが。