まじめな読書会入門―はじめに

 本日は読書会お疲れ様でした。今回は読書会がはじめての方が多いということなので、前に書いた「読書会レジュメの作り方」の記事をまじめに書き直してみたいと思います。前回は有名なネットジョークのテキストを使って説明したのですが、今回はわかりやすいように、本日扱ったシンガー『マルクス』の第2章冒頭を題材として説明したいと思います。
 その前に、本日担当だったTさんの作ったくれたレジュメの冒頭部をチェックしてみましょう。

1.マルクスヘーゲル
 マルクスはベルリンで学生であったころ、その当時新しいとされたヘーゲルの哲学に触れた。ヘーゲルの哲学はその頃幅広い領域のシステムを凌駕していたのであった。

 まず、このレジュメのよい点を考えてみます。

◎ 意味段落をつけている
 Tさんは『マルクス』の第2章を「マルクスヘーゲル」「ヘーゲルの哲学」「影響を受けたマルクス」という3つの意味段落にわけてくれています。テキストをいくつかの部分にわけてレジュメにすると、説明がわかりやすくなるだけでなく、発表の途中で他の人に質問を募ったり、意見を求めたりすることも容易になる*1ので、これは二重丸です。

◎ 簡潔である
 レジュメは口頭発表を補助するものであるので、簡潔さが命です。レジュメが長すぎるとそれを読むのに労力を使ってしまい、口頭での発表に集中して聞くことができなくなってしまいます。細かいことは口頭での発表に回して、必要最小限のことのみを載せるようにするとよいでしょう。

◎ 平易である
 (少し日本語的に不自然なところがありますが)専門用語やまわりくどい表現をさけていてわかりやすいですね。難解であるのはテキストだけで十分なので、レジュメはわかりやすい記述をこころがけましょう。

 逆に以下の点はよくありません。

× 段落を飛ばしている
 この意味段落にあたると思われる段落は(引用も入れて)4段落あると思いますが、後述するようにTさんは2段落分しかレジュメにまとめていません。ここではまだよいのですが、「ヘーゲルの哲学」や「影響を受けたマルクス」ではこれがより顕著になっています。レジュメは簡潔かつ平易であることが要求されますが、内容を飛ばしてはいけません。

× 段落番号が表記されていない
 今日の読書会で、何度か私からTさんに「この内容はどこに書いてあるの?」と質問したことがあったと思います。レジュメのなかにその内容が何番目の段落に書いてあるのかを表記しておくと便利です。また、段落を飛ばさないための意識付けにもなると思います。

 このことを踏まえたうえで、よりよいレジュメを(簡単に)作るにはどうしたらよいのか、次回から説明したいと思います。

*1:ずっと続けて説明してしまうと他の人が質問をしにくくなってしまいますし、読書会が単調になってしまいもするので、適宜質問や意見を募るとよいかもしれません。後述します。