小田急線直通多摩急行唐木田行き

 あまり知られていないことだが、北千住は都内有数の乗り換え駅である。JR東日本の乗車人員に限っても社内11位で、これは山の手線外の駅としては最多である。さらに東京メトロの乗降人員に至っては池袋に次ぐ社内2位であり、しかも日比谷線北千住駅東武管轄であるので、これは千代田線のみでの数字である(日比谷線の乗降人員とあわせれば1位になる)。東武線の乗降人員も池袋に次ぐ2位であり、つくばエクスプレスでも秋葉原に次ぐ2位である。
 このように巨大な北千住駅であるが、列車の向かう先にはだいたいのパターンがある。ひとつは埼玉・千葉・茨城のベッドタウン―たとえば松戸、柏、我孫子、取手、つくば、東武動物公園―へと向かう場合であり、もうひとつは都心―たとえば上野、浅草、秋葉原、中目黒、代々木上原―へと向かう場合である。
 だから、地下の千代田線ホームに佇んでいて、この列車が来るとどきどきしてたまらないのだ。伊勢崎線でちんたら墨田区を南下するような半蔵門線田園都市線直通中央林間行きとは違うあのスピード感!(5分で山の手線内!)多摩へ向かうというあの非日常感!あのかっこいい緑色の車体が、俺をこのわずらわしい千住という街から解放してくれるに違いないのだ!
 そう考えながら、西日暮里の駅そばに置き忘れたかばんを取りに行くために、私は電車を降りるのであった・・・・・・。